不動岩ワンマンショー・ペガサスのボルト追加について
KINet からのお願い 

2009/6/5

 数年来、不動岩のワンマンショー、ペガサスのプロテクションを変更する
ことについて皆様に御意見を頂いてまいりました。
KINet では皆様の御意見を最大限生かした施策をと議論を重ねてまいりました。
このたび結論を得て下記の実施計画を立てました。
クライマーの方々からの様々なご意見、及び、地元在住の方々のご心情等も
加え、総合的に判断してこのような結論に至りました。

皆様のご理解と御協力をいただけますようお願い申し上げます。

1.実施日:2009年8月8日、9日(2ルート共)。
       降雨中は工事を行いません。
       埋設ボルト固定には24時間の静置が必要ですのでガムテープを
       貼り付けます。
       10日夕刻までは新設ボルトを使わないで下さい。

2.追加ボルト位置等
       ワンマンショー:ルート核心中間部の鎖末端位置にボルト埋設および
       鎖撤去。 使用ボルト:12mm L:200mmズンギリボルト+ハンガー
      
       ペガサス:ルート核心部にボルト埋設。
              使用ボルト:Fixe#014
       グルー(接着剤)はいずれもRE500を使用します。


                                               以上


尚、上記の事項に至った経緯は下記の通りです。

 不動岩のペガサスとワンマンショーの2ルートを含めた岩場整備を2006年に行いました。その後のペガサスにおけるホールドの欠落による危険性の増加、そして、ワンマンショーにおけるボルトにぶら下げた鎖の妥当性に関する疑義が出されていました。これ等の問題を解決すべく皆様から御意見を募り、KINetの役員の討議を経て両ルートに新たなボルトを設置するという結論に達しました。この問題に関して、ここに詳しいいきさつを御説明致します。


1.ペガサス

 ペガサスは三笠木、小山、坂東の3氏により設定・初登攀されたものですが、設定当初は核心部にボルトが打たれていませんでした。後に設定者以外の方がボルトを打ち、ワイヤーが掛かけられました。これにより、核心部で左手を伸して斜めのガバホールドを取り、ワイヤーをプロテクションとする登り方が一般的となっていました。しかしその後このワイヤーはボルトごと抜け落ちたままになっていました。その後KINetがリボルトしたのですが、抜け落ちたボルトは初登攀時に無かったことから、その部分にボルトを設置しませんでした。ところが、KINetによるリボルトの後核心部のガバホールドが欠け落ちて厳しいルートに変容し、落ちて負傷する事故が多発しています。登攀不能というのではなく、マスタースタイルでのリードはなされてはいますが、核心部で落ちると間違いなく怪我につながっているようです。そんなルートだと知って登るべきで、実力の無い人は登るべきではない、という意見もありますが、ルートの質が悪化し危険になったことに対して何らかの安全策が講じられるべきだという考え方もあります。
KINetでは問題発生時からボルト打ち足しの可能性を検討し、初登攀の3氏に打ち足しの快諾を得、その後、広く意見を求めながらこのルートをどうすべきか時間をかけて考えてきました。その結果今回のボルト打ち足しの結論となりましたが、問題点を明らかにしたうえで皆様の御承認を得たく思っています。

問題点:初登攀主義の尊重に反しないかという点

 KINetは初登攀時のボルトのみをリボルトし、ピトンは何本か分を1本のボルトに代替させるという方針を掲げています。しかし、初登攀時のボルト位置が登攀技術論的に誤まっており、危険な場合はボルト位置を変更したり、あるいはボルトを追加する場合があります。基本的に初登攀を尊重はしていますが、厳格に初登攀に追随するものでは無いとお考えいただきたく思います。ペガサスに関して考えたとき、当初のルートはガバホールドを取った所で核心部は終了しているので、その上部までのランナウトは許される範囲内であったのですが、ホールドが欠け落ちた現在は核心部が上部まで連続し、墜落の危険性が増大したので何らかの策があってしかるべきだと考えられます。上に記したようにこのままで良いという意見もあると思いますが、初級ルートが混在する岩場にあり安易に取り付き易いという点、また、この岩場では落ちたら危ないルートが他に無い点などを考慮して、ボルトを打ち足すことにしました。
しかし、打ちたすことによって、安全なルートになったわけではありません。このルートのホールド・レッジ等の構成上の問題により、核心部での墜落で小レッジへ激突する可能性は残ります。トライする方は十分注意をお願いします。


2.ワンマンショー

 ワンマンショーは鹿出氏により設定・初登攀されましたが、その後誰かが核心部中間のボルトにスリングを設置して“お助け”と呼ばれていました。KINetがリボルトした時点でお助けスリングを撤去しましたが、その直後からあれが必要だ、何とかして欲しいとの要望が多かったために鎖を設置しました。しかし、やはり鎖は相応しくないとの意見が出たため、撤去の検討が始まりました。このルートについても多くの方々の御意見をいただきました。少数意見ですが、鎖の撤去で充分で、ボルトの追加はむしろ危険性の増加につながる可能性もあるというのがありました。しかし、多くの意見は、安全性を考えるとボルトを追加すべきだというものでした。早くから鹿出氏にはボルト打ち足しの快諾を得ていました。これらの議論を踏まえ、ボルト打ち足しの結論を得ました。ペガサスのところで述べましたように、このルートでもまた、ボルト打ち足しが正確には初登攀主義に反することになります。しかし、ペガサスの場合と同様に、時間をかけて多くの議論を重ね、今回のような措置を講じる決定をしました。
 以上、皆様のご理解が得られれば幸いです。
                                               以上

上記の内容についてご意見のある方は、掲示板または、
kinet2008koho@yahoo.co.jpまでご連絡お願いします。





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