2010/07/27

troll(トロール)社製のalpinist(アルピニスト)2003 年製造のバックル
破損の情報が寄せられましたのでお知らせいたします。

比較的コンパクトなため、沢や雪山で使っておられる方が多そ
うな製品なので報告しておきます。
先月某日、1/5システムでの引き上げトレーニング中、同ハーネ
スを装着した模擬要救者(体重76kg 空身)をビレイループにカ
ラビナを介して地上より10cmほどつり上げたところ、ほぼ静加重
に近い状態であるにもかかわらず、添付写真(jpeg 84KB)のよ
うにバックルが破断しました。
バックルは黒く塗装されていますが、破断片の密度を測定したところ
2.78g/cm3で、アルミニウムの密度は2.7g/cm3、ジュラルミンな
どのアルミニウム合金の密度は2.8g/cm3前後であることからその
類の材質でできていると思われます。さほど繰り返し加重がかかる所で
はないから金属疲労とは考えにくいし、また、過去に大きな衝撃をかけ
たこともありません。特に傷もなかったと思います。
なお、troll社は6年ほど前にHB社に吸収されたあと消滅
しており、当時troll社の製品を輸入していた国内代理店もすで
になくなっています。
実際の現場ではなく、ケガもなくて幸いでした。同製品をお使いの方は
使用をひかえられるようにお勧めします。


pict1



pict2



pict3



pict4



pict1:
(1)全体写真でメインバックルが破断しているため洗濯バサミで留め
ています。
(2)メインベルトの織り込み模様がこの製品の特徴です。
(3)ギヤーラックは5個ついていましたが、軽量化のため、過剰な3
つを切除しています。
(4)レッグループおよびレッグループのプラスティックバックルには
異常がありませんでした。

pict2:
(1)バックルのこの写真での下側(装着時は上側)に、軽くこすれて
やや塗装のはげたところがありますが、破断した箇所の塗装面は無傷で
した。

pict3:
(1)破断面です。
(2)ほとんどまっすぐ左右に引きちぎられた様子です。
(3)この破断面の様子からダイカスト製だと思いましたが、識者によ
るとプレス打ち抜き成型でもこのような破断面になるそうです。

pict4:
(1)裏面に縫い付けられているタグです。
(2)「troll」と「CE」のロゴ以外に書かれているのは
下記のとおりです。
ALPINIST : LARGE 2003
CONFORMS TO : BS EN 12277 : 1998 TYPE C
TROLL CLIMBING LTD. UK LL57 4YH 0086


補記:
購入したのは5年ほど前です。岩場のゲレンデでは別のハーネスを使っているため、このハーネスの使用頻度は年間で10日程度です。沢登り、岩稜縦走、雪山に使っていました。懸垂下降以外で負荷をかけた
のは、トップの1〜2mの小スリップをセカンドでボディビレイ
したことが2回ほどあっただけのように記憶しています。




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